【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

“バッタの子孫”の活動録/前野ウルド浩太郎(05/30)_学究達=439

2023-04-22 05:30:19 | 冒険記譜・挑戦者達

ⰧⰊⰧ Intermiussion/幕間 =狂(きょう)の出来事=平成5年04月22日<ⰧⰊⰧ
◆ 大相撲二月場所五日目で観客の多くが焼け出される破目になったので、この日を限りに千秋楽とする(1806年=文化の大火)。
◆ ドイツ軍が塩素消毒をしようとしたところ、手違いで敵のフランス軍が大ダメージを被る(1915年=イーペルの戦い、史上初の大規模毒ガス攻撃)。
◆ 日本人にとっての「アメリカの翼」がパンアメリカン航空からユナイテッド航空に代わる(1985年)。パンナムが機材・従業員・各種の権利をユナイテッド航空に売却したのである。

本日記載附録(ブログ)

アフリカでしばしば大発生し、ユーラシアの農作物に深刻な被害を及ぼすサバクトビバッタ。

防除のために巨額の費用が投じられているが、未だに根本的な解決策は見出されていない。

『バッタを倒しにアフリカへ』と単身、西アグリカ・モーリタニアに渡った日本人がいる。

”愛するものの暴走を止めたい”と語る前野ウルド浩太郎、秋田市土崎港出身の人である。

【この企画はWebナショジオ】を基調に編纂(文責 & イラスト・資料編纂=涯 如水)

“サバクトビバッタの相変異” の解明が世界を救う

前野ウルド浩太郎(05) ◇◆ 第2回 サバクトビバッタとは何者か =2/3= ◆◇

 さて、サバクトビバッタも、普段の孤独相から、群生相になると、群れをなして甚大な被害をもたらす。目下、国際連合食糧農業機関(FAO)がモニタリングを行っている害虫であり、アフリカのサブサハラ諸国や、中東での被害が常に警戒されている。下図はFAOのウェブサイトから引いたもので、ちょうどぼくがモーリタニアを訪ねた頃、群生相の幼虫が発生しているという情報が登録されていたほかのほかの地域では静穏のように見えるが、これはモニタリングがきちんと為されているかどうかという問題もあり、必ずしも、モーリタニアだけで群生相の幼虫が出ているわけではなかろう、という説明を受けた。

「自分の目にはかわいらしく映るんですけど、やっぱり群生相になった時の被害というのは、悪魔として恐れられているだけのことはあるんです」と前野さん。

「農作物の被害は年間400億円以上だと言われていますし、2003~2005年に大発生した時には、防除のために560億円もの費用が使われました。もう、政治・経済が複雑に絡んだ国際的な問題なんです」

 ぼくが前野さんとフィールドに入った時点で、幼虫たちのバンドがマーチングといわれる行進行動を取っていたというのは、前回述べた通り。通り過ぎた後にはぺんぺん草も生えない(というか食べられてしまっている)という禍々しさとは裏腹に、マーチング・バンドって、つまり鼓笛隊か! という響きには脱力する。

 しかし、これがやがて成虫になって飛翔能力を得ると、最大で500キロもの長さにわたる、それこそ関東地方を覆い尽くせるほどの群れに発展しかねないそうで、その猛威たるや想像するだに怖い。それほどの力を潜在的に秘めた幼虫の「鼓笛隊」は、さわさわしゃりしゃりと植物を食べる音を響かせつつ行進していくのだった。

 前野さんによると、ぼくたちが見たのは、主に三齢幼虫と四齢幼虫からなる混成隊だ。少数だが五齢幼虫もおり、四齢幼虫との違いを見せてくれた。ぼくが一瞬「スズメバチ」に見立てた模様は、実際にはもっと緑がかっていた。三齢と四齢の差は、ぱっと見たところ体の大きさと翅の大きさだ。いずれも、飛翔能力はない。四齢幼虫は、この後、脱皮すると終齢幼虫となり、成虫の一歩手前となる(時々、さらにもう一度多く脱皮する者もいる)。

 また、周囲を探索するうちに、さらに小さな生まれたての初齢幼虫を見る機会もあった。

「これ、そうですよ。群生相のものと、孤独相のもの、両方いますね。黒いのが群生相で、緑のものが孤独相です。群生相は、初齢と二齢の時に、体が黒いんですよね。三齢からは、さっき見たような色になります」

 ・・・・・・・・明日に続く・・・・・

…… 参考資料: 前野ウルド浩太郎_ウィキペチディア(Wikipedia)より (5/6) ……

日本でのPR・研究活動

前野の研究アイディアは時間を要するものであり、かつ大規模な蝗害が長年発生していない日本にとっては、異国の地アフリカのサバクトビバッタ問題に対する認知度が低かった。したがって、論文以外の手段でキャリアの活路を見出す必要があり、「バッタ博士」としてセルフプロモーションすることとした。しかしこれは研究者として「売名行為」「不真面目の烙印」とも自認しており、背に腹は代えられぬ手段であった。

プロモーション戦略の一環で前野は2013年4月下旬、幕張メッセで開催された第4回ニコニコ学会βシンポジウムの「むしむし生放送~昆虫大学サテライト」に丸山宗利らと共に昆虫学者4名で登壇し、注目を集めた。また、経済誌『プレジデント』で2013年6月から連載を担当することになり、キャリア・サバイバルについて綴った。この連載を担当したプレジデント社の編集者・石井伸介が前野の原稿を細部まで磨き上げたことから、前野にとって文章作成能力を大きく向上させる機会となった。

2014年4月からは、若手グローバル研究者を育成する目的で学際的に設立された京都大学の白眉センターに所属し、特定助教の立場で2年間研究に従事した。サバクトビバッタが多く出現する秋から初冬はモーリタニア現地での野外調査を、それ以外の時期は昆虫生態学研究室の松浦健二教授(シロアリ研究者)に師事しつつ、幅広い人脈と知見の構築に勤しんだ。

なお、2019年冬頃からサバクトビバッタは東アフリカから中東、西アジアにかけて未曾有の大発生(en:2019–20 locust infestation)となっているものの、2020年2月時点で前野は日本で研究に取り組んでおり、現地渡航は実現していない。

評価

2013年には『孤独なバッタが群れるとき サバクトビバッタの相変異と大発生』(東海大学出版会)を上梓したほか、ブログなども運営していたことからファン層を獲得し、2014年1月時点で既に「最も認知度が高い、若手昆虫研究者」、「抱腹絶倒の筆力で学問の現場からの報告をエンタテインメントとして成立させた」などと評されていた。

2014年から2年間所属した京都大学白眉センターは前野の人物紹介特集をウェブ上で組み、「いわゆる学者タイプの研究者とは少し違う」「人を楽しませようというエンターテイメント性にあふれている」と人柄を解説している。

2017年出版の『バッタを倒しにアフリカへ』は、昆虫観察では金が稼げない現実を突きつけられたポスドク時代を中心に自叙伝的に描いている。「抱腹絶倒のバッタバカ一代記」、「今の日本にまだこんながむしゃらな若者がいたのか」「苦難を知恵と工夫と根性で乗り切っていく姿を面白おかしく描いている」などと評された。本書は、2018年新書大賞中央公論)、第71回毎日出版文化賞特別賞、および第14回絲山賞を受賞した。

・・・・・・明日に続く

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https://youtu.be/uzi9o-3C1B8 <サバクトビバッタのスウォーム。主に18秒以降に映っている。>

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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森のなかえ

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